真っ暗な部屋の中、ゆらゆら揺れる蝋燭の明かり。
誰だろう?
私は部屋の襖を開けて外へ出る。
流石に真冬。しんしんと積もる雪景色に、寝巻き姿は寒かった。
「どうしたんですか?」
そこに居たのは・・・
「夜中にごめん・・・」
「吉良副隊長・・・どうしたんですか?」
もう一度、私は問うた。
この人がこんな時間に此処にいるなんて普通に考えておかしいでは無いか。
同じ隊の中だとは言え、副隊長と席官でもない私。立場が違いすぎる。
それに寒い夜半過ぎ。此処にこの人が居る理由が分からない。
「ちょっと、会いたくなって」
それだけ言うと副隊長は倒れてしまった。消える蝋燭の火。
何事か!!!!
慌てて駆け寄ると、副隊長は眠っていた。
ほっとしたのもつかの間、いつも青白い肌がさらに青い。
これはおかしいと抱きかかえると体はかなり冷えている。
どれだけ此処にいたんだろう。ただ私に会うためだけに・・・
考えるとばかばかしいけど、だからって放っておくわけにもいきまい。
仕方なく背負って部屋まで連れて行くことにした。
死覇装は濡れ、重く冷たくなっている。
勿論副隊長を背負った私の背中もびしょ濡れで寒い。
早く行かなきゃ。
そう思っても中々前へ進めない。
副隊長を背負ってる(背の低い私は半ば引き摺ってるけど)だけでなく、
雪で足場を取られてしまうのだ。
「迷惑な人ですね・・・」
聞いちゃいないけど、口を突いて出た言葉。
迷惑。ホント迷惑。迷惑だけど、そうは思ってない自分と。
「不思議なもんですね。こんな風にこんな時間にこんな場所を歩いてるんですよ・・・」
やっと副隊長の部屋に辿り着いた。
部屋の中には・・・
「市丸隊長?!」
そこには、市丸隊長が座っていた。部屋を間違った訳では・・・無い。
まぁ、この人のことだからありえる範囲だ。
一瞬で背筋が凍った気がするのは、寒さの所為だけではないだろう。
そして私は床に副隊長を降ろす。
「イヅルが迷惑かけて、堪忍な」
「・・・いえ・・」
「すっかり濡れてしもてるやない。君も、風邪引きなや?」
「はい。では失礼しました。吉良副隊長のこと、よろしくお願いします」
「おおきに」
意外ではあったけど、この人が此処に居るなら安心だ。
私はくるりと隊長に背を向けると少し振り返って会釈し、部屋を出ようとした。
そこへあぁ言い忘れるとこやった、と隊長。
「イヅルの気持ちにも、気付いたって」
「・・・どうでしょう?」
振り返った姿勢のまま私は悪戯っぽく笑って隊舎の外へ出ていった
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- 2008/06/02(月) 20:22:32|
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僕は君に囁く。
「さようなら」
もう会うことは無いだろう。
もう悲しむことは無いだろう。
君に出会って、君が視界の端にいつも入るようになってから。
僕はどこか変わっていた。
何を求めて君を眺めるのだろう。
近付きたいと思うわけじゃない。
ただ、眺めているだけでよかった。
憧れさせて欲しかった。
願いは叶った。
君は僕に笑顔を向けるようになった。
みんなが僕に見せるようなおびえは無かった。
純粋に僕に笑いかけただけ。
なんだか温かい。
他人とは関われないと思っていた。
でも君は僕に手を伸ばした。
「 コ ッ チ ヘ オ イ デ 」
僕は何も疑わなかった。
君を信じてその手をとった。
果たして自分が愚かだったのか。
世界はとうに、崩れ去ったあとだった。
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- 2008/06/01(日) 15:50:30|
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僕の目の前にいるこいつ。
かれこれ30分が経つけど、一行に離れようとしない。
「何してるの?」
問うたところで無駄なのは分かっているが、それでも訊かない訳にはいかなかった。
「何、って恭弥の隙を狙ってるんです」
あっけらかんと言ってしまうこいつに殺意を抱くが、殺せない僕。
結局のところ僕はそれほどこいつを嫌っていないらしい。
一日中べったりだったりするけれど・・・
例えば
朝起きたらなぜか隣に居るし
学校に行くのにも後ろでついてきていた。
学校の中では一人制服が違うのに生徒の群れの中を闊歩してるし
挙句の果てに草食動物に絡みに行った。
あの男は如何したいんだろう?
それに、こんなに纏わり付かれても何もしない僕は如何したのだろう。
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- 2008/05/10(土) 21:28:24|
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